【VOXセクター分析】新しくできた通信コミュニケーションセクターにはグーグル、フェイスブックが陣取る

2019年9月19日

こんにちは、アーサーです。

今回はアメリカ通信コミュニケーションセクターETFのVOXをご紹介します。

データソースはバンガードのファクトシート(2019年6月30日時点)です。

VOXの概要

ベンチマークMSCI USインベスタブル・マーケット・
通信サービス25/50インデックス
ティッカーVOX
経費率0.10%
ETF純資産総額20.50億ドル
ファンド純資産総額21.02億ドル
配当スケジュール四半期毎
設定日2004年9月23日
上場取引所NYSE Arca

VOXの詳細データ

構成株式銘柄数114
時価総額の中央値2,363億ドル
株価収益率21.6倍
株価純資産倍率3.0倍
株主資本利益率14.1%
利益成長率25.3%
売買回転率84.2%
標準偏差13.66%

VOXの時価総額内訳

大型株71.5%
中・大型株1.6%
中型株15.2%
中・小型株4.7%
小型株7.0%

VOXの産業構成

インタラクティブ・メディア
およびサービス
42.0%
映画・娯楽13.1%
ケーブル・衛星テレビ12.8%
総合電気通信サービス12.6%
放送5.5%
インタラクティブ・
ホームエンターテイメント
4.3%
無線通信サービス3.0%
代替通信事業会社2.9%
出版2.1%
広告1.7%

VOXの保有上位10銘柄

Alphabet Inc.20.8%
Facebook Inc.15.7%
Verizon Communications Inc.7.5%
AT&T Inc.4.8%
Walt Disney Co.4.7%
Netflix Inc.4.7%
Comcast Corp.4.5%
Charter Communications Inc.2.6%
Activision Blizzard Inc.1.5%
Electronic Arts Inc.1.4%
純資産総額に占める上位10銘柄の割合68.2%

VOXのトータルリターン

2019年6月30日までのトータルリターンです。

過去1年3.10%
過去3年-1.50%
過去5年2.87%
過去10年9.13%
設定来(2004~)6.88%

VOXの分配金情報

分配金の単位はドルです。

2019年

2019/06/210.1707
2019/03/210.1464
合計(暫定)0.3171

2018年

2018/12/130.2465
2018/09/240.2597
2018/06/280.767
2018/03/160.7797
合計2.0529

2017年

2017/12/141.0929
2017/09/270.84
2017/06/280.75
2017/03/240.808
合計3.4909

VOXの株価指標

予想PER:不明(モーニングスターHPでの記事が削除されていたため。予想PERが判明したら記載予定)

配当利回り:0.92%(2019年9月19日20時(日本時間)時点)

VOXに対するコメント

VOXはアメリカ通信コミュニケーションセクター全体に投資できる便利なセクターETFです。 
2018年にグーグルやフェイスブックなどの広告・メディア大手が通信コミュニケーションセクターに移動したことでVOXのポートフォリオは大きく変わりました
産業構成率は検索サービスやSNSを含むインタラクティブ・メディアおよびサービスだけで42%となります。

グーグル検索のアルファベットが20.8%、巨大SNSをいくつか管理するフェイスブックが15.7%とこの2銘柄がVOXの主力となります。
もともとの通信セクターに属していたベライゾンやAT&Tもそれぞれ7.5%、4.8%と影響力を持っています。

VOXの強み

  • アルファベットとフェイスブックという成長性の高い銘柄が主力
  • 不景気耐性がある
  • 通信企業は高配当

VOXはアルファベットとフェイスブックというインターネット広告を席巻してきたふたつの銘柄が主力となります。
インターネットの広告業はこれからも成長することが期待できるうえに、実際にモノを作って売るわけではないので、高い利益率を維持しやすいです。
しかもネットワーク効果が大きく産業を独占しやすいですし、その過程でブランド力も高まります
ブランド力が高まればさらに産業を独占しやすくなるという企業にとっては好循環が発生します。
このような循環を抱えている企業が主力なのはVOXの大きな魅力になります。

不景気耐性も高いことが予想されます。
というのも主力のうちアルファベット社はリーマンショックを経験していますが、このときは株価こそ下落しましたが営業利益は安定して成長したため、ほとんどダメージがありませんでした。
不景気になると広告費から真っ先に削られるというのは常識ですが、インターネットの登場でそうでもなくなったのかもしれません。
テレビCMや新聞に入れるチラシと違い、インターネットの広告は特定のユーザーを狙い撃ちにできます。
これは広告の効率が著しく上がったといえるわけです。
不景気時にもこの種の広告は企業にとって手放せないものになるのではないでしょうか。
また通信企業も現在はかなり割安でバリュー株だといえるので、不景気時は市場平均に対していい戦いができると思います。

通信事業をおこなうベライゾンやAT&Tは高配当企業として有名で、米国株投資家にも人気があります。
アルファベットやフェイスブックがいまだに無配当を貫くなか、これらの高配当企業がVOXの分配金を生み出してくれます。

VOXの弱み

  • 期待度の低い通信事業と高いインターネット広告業が混ざっている
  • 通信企業は成長性が期待しづらい
  • 主力銘柄のパフォーマンス次第

VOXの一番の弱点は通信事業とインターネット広告業がポートフォリオに混ざっていることです。
通信事業は高配当で割安の代わりに成長性は低くインターネット広告業は無配当で割高だが成長は期待できる、と大きな違いがあります。
いうなれば、通信事業はバリュー投資家向け、インターネット広告業はグロース投資家向けなわけです。
インデックス投資以外でこの両事業を受け入れられる投資家はどの程度いるのでしょうか。

通信事業は成長性が低いところがネックです。
5Gのために大きな設備投資をしている最中ですが、この多額の設備投資が足を引っ張る展開にならなければいいのですが…

アルファベットとフェイスブックだけで構成率が36.5%もあるため、この2銘柄のパフォーマンスにVOXも大きく影響されます。
15%越えの銘柄が2種類あるというのは、ETFにしてはあまり分散がされていないと思います。

シーゲル教授の研究での通信セクターは市場平均を下回る

シーゲル教授の『株式投資の未来』では1957年から2003年までの各セクターの市場シェアとリターンを調査しており、以下がその結果となります。

S&P50010.85%
ヘルスケア14.19%
生活必需品13.36%
情報技術11.39%
エネルギー11.32%
一般消費財11.09%
金融10.58%
資本財10.22%
電気通信9.63%
公益事業9.52%
素材8.18%

通信セクターは市場平均を下回り、9.63%の年率リターンとなりました。
設立時(2004年)からのリターンも6.88%とあまり振るわない結果となってしまいました。
ここ3年のリターンが年率-1.5%とマイナスになっているのはその象徴です。

しかし2018年にアルファベットやフェイスブックがVOXのポートフォリオに参入しました
ということは、これまでのパフォーマンスはあまり参考にならないということです。
とはいえ通信事業の部分は過去のパフォーマンスに照らすとあまり期待度は高くないのがVOXの痛いところです。

VOXの今後

アルファベットやフェイスブックが新しくポートフォリオに入ってきたことで期待度はグンと上がりましたが、これまでの通信企業も残っているため評価が難しいETFです。
インターネット広告業と通信事業を両方とも評価される方に向いているセクターETFだと思います。

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この記事では各セクターを成長、安定、割安の3つの指標を使って評価しています。

アルファベットとフェイスブックはもともとハイテクセクターETFのVGTに入っていました。そのVGTの紹介記事です。

不景気耐性があるといえるセクターとしては公共、生活必需品、ヘルスケアの3セクターが上げられますが、こちらはヘルスケアセクターを紹介しています。