【VISセクター分析】アメリカ資本財セクターは意外にもここ10年で好パフォーマンスを発揮!好景気に強く、製造業や防衛産業多し

2019年9月29日

こんにちは、アーサーです。

今回はアメリカ資本財セクターETFのVISをご紹介します。

データソースはバンガードのファクトシート(2019年6月30日時点)です。

VISの概要

ベンチマークMSCI USインベスタブル・マーケット・
資本財・サービス25/50インデックス
ティッカーVIS
経費率0.10%
ETF純資産総額35.92億ドル
ファンド純資産総額38.00億ドル
配当スケジュール四半期毎
設定日2004年9月23日
上場取引所NYSE Arca

VISの詳細データ

構成株式銘柄数357
時価総額の中央値380億ドル
株価収益率19.2倍
株価純資産倍率4.1倍
株主資本利益率20.1%
利益成長率12.0%
売買回転率3.9%
標準偏差16.78%

VISの時価総額内訳

大型株58.5%
中・大型株7.6%
中型株15.4%
中・小型株8.9%
小型株9.6%

VISの産業構成

航空宇宙・防衛23.6%
コングロマリット12.2%
産業機械11.2%
鉄道8.3%
建設機械・大型トラック5.8%
電気部品・設備5.3%
航空貨物・物流サービス5.0%
環境関連・ファシリティサービス4.1%
旅客航空輸送業4.0%
建設関連製品4.0%

VISの保有上位10銘柄

Boeing Co.6.5%
Honeywell International Inc.4.2%
Union Pacific Corp.4.1%
United Technologies Corp.3.5%
3M Co.3.3%
Lockheed Martin Corp.3.1%
General Electric Co.3.0%
Caterpillar Inc.2.6%
United Parcel Service Inc.2.4%
CSX Corp.2.0%
純資産総額に占める上位10銘柄の割合34.7%

VISのトータルリターン

2019年6月30日までのトータルリターンです。

過去1年9.28%
過去3年13.08%
過去5年9.06%
過去10年15.58%
設定来(2004~)9.46%

VISの分配金情報

分配金の単位はドルです。

2019年

2019/06/210.5056
2019/03/210.6862
合計(暫定)1.1918

2018年

2018/12/130.6475
2018/09/240.5937
2018/06/280.5573
2018/03/160.4953
合計2.2938

2017年

2017/12/140.6164
2017/09/270.586
2017/06/280.532
2017/03/240.544
合計2.2784

VISの株価指標

予想PER: 17.22(2019年8月31日時点、モーニングスターHPより)

配当利回り:1.67%(2019年9月29日時点)

VISに対するコメント

VISはアメリカ資本財セクター全体に投資できる便利なセクターETFです。 
航空宇宙・防衛産業が最も多く、23.6%の構成率をほこります。
また多数の事業を扱う多角化経営(コングロマリット)企業が12.2%となっています。
鉄道産業も資本財セクターに属していて、こちらの構成率は8.3%です。

最も時価総額が高い企業は航空機や軍用品を生産するボーイングで、VISの6.5%を占めます。
他にも電子制御システムや自動化機器を製造しているハネウェル・インターナショナルが4.2%、鉄道会社のユニオンパシフィックが4.1%、工業製品やヘルスケア製品など幅広い生産をするコングロマリット企業スリーエム(ティッカーがMMMとわかりやすい)が3.3%となっています。

VISの強み

  • 好景気に強い
  • 株主還元に積極的な企業が多い
  • 軍需産業がなくなることはない

資本財セクターは景気循環セクターとも呼ばれ、好景気に強い特徴があります。
好景気が長く続くなら良好なリターンが期待できます。

資本財セクターの大手企業を見る限りでは株主還元に積極的な企業がほとんどでした。
特に自社株買いが多く配当性向は50%、総還元性向は100%といったイメージです。
オールドエコノミーセクターではありますが、だからこそ優秀な株主還元が行われているのでしょうね。

VISのメイン産業は軍需ですが、この産業はなくなることがありません。
戦争が嫌悪される時代でも平和を維持するために武器が必要になるからです。

VISの弱み

  • 不景気に弱い
  • 需要の減少に対する耐性が低い
  • 大手企業は株主還元のし過ぎで財務状況はあまりよくない

景気循環セクターであるがゆえに、不景気には弱いです。
この性質を活かして、不景気時にタイミング良く投資できれば高いリターンを期待できます。

ただ需要の減少に対しては滅法弱いです。
というのも製造業なので複雑な設備を使って生産していることがほとんどで、設備を維持するだけでもコストがかかってくるからです。
いらない設備ばかりを所有する結果となってしまった場合、買収先としても魅力がなくなってしまい、あっさり倒産してしまう可能性もあります。

株主還元は非常にすばらしいことです。
100%を超える還元は本来喜ぶべきです。
ただ、私たち投資家が投資する前にこのような還元を行った場合は少し立ち止まって考えるべきでしょう。
なぜなら大抵の場合、財務状況も悪化していることが多いからです。
資本財セクターの大手企業は純資産が少なく、ゼロの企業もいくつかあります。
純資産がゼロということは、超過債務だということです。
超過債務の状態では資産をすべて売っても借金が残ることになります。
超過債務の企業は基礎的な体力が低く、不景気時にその対応を誤るとそのまま倒産してもおかしくありません。
その企業が抱えているビジネスが不景気時でも堅調に遂行できるのなら倒産まではいかないと思いますが…
またこのセクターでは大手企業の歯車が狂うと部品を納入している同セクターの中小企業にまで影響が及ぶため、大手の割合が少ない(純資産総額に占める上位10銘柄の割合は34.7%)とはいえその動向は重要です。

シーゲル教授の研究における資本財セクター

シーゲル教授の『株式投資の未来』では1957年から2003年までの各セクターの市場シェアとリターンを調査しており、以下がその結果となります。

S&P50010.85%
ヘルスケア14.19%
生活必需品13.36%
情報技術11.39%
エネルギー11.32%
一般消費財11.09%
金融10.58%
資本財10.22%
電気通信9.63%
公益事業9.52%
素材8.18%

資本財セクターは市場平均を下回り、10.22%の年率リターンとなりました。
しかし設立時(2004年9月)からのリターンは9.46%と健闘しています。
(参考までに飛ぶ鳥を落とす勢いのハイテクセクターETFのVGTは設立時(2004年1月)からのリターンが10.44%でした。)
ここ10年は好景気が長く続いたことで資本財セクターにも富をもたらしたとともに、リーマンショック時に金融セクターほどのダメージを受けなかったこと、自社株買いなどの株主還元を積極的に行ったことなどがリターン向上につながったと考えます。

VISの今後

資本財セクターETFは好景気に強いことがわかりました。
ということは投資時点から好景気が長く続くか、もしくは不景気を待って株安になったところを買うことで好リターンが期待できます。

株主還元を重視してきたことは魅力的ではあるのですが、逆に財務状況が悪化しているためこれから投資する際はその点に注意したいですね。

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