【VISセクター分析】アメリカ資本財セクターは意外にもここ10年で好パフォーマンスを発揮!好景気に強く、製造業や防衛産業多し

こんにちは、アーサーです。
今回はアメリカ資本財セクターETFのVISをご紹介します。
データソースはバンガードのファクトシート(2019年6月30日時点)です。
VISの概要
ベンチマーク | MSCI USインベスタブル・マーケット・ 資本財・サービス25/50インデックス |
ティッカー | VIS |
経費率 | 0.10% |
ETF純資産総額 | 35.92億ドル |
ファンド純資産総額 | 38.00億ドル |
配当スケジュール | 四半期毎 |
設定日 | 2004年9月23日 |
上場取引所 | NYSE Arca |
VISの詳細データ
構成株式銘柄数 | 357 |
時価総額の中央値 | 380億ドル |
株価収益率 | 19.2倍 |
株価純資産倍率 | 4.1倍 |
株主資本利益率 | 20.1% |
利益成長率 | 12.0% |
売買回転率 | 3.9% |
標準偏差 | 16.78% |
VISの時価総額内訳
大型株 | 58.5% |
中・大型株 | 7.6% |
中型株 | 15.4% |
中・小型株 | 8.9% |
小型株 | 9.6% |
VISの産業構成
航空宇宙・防衛 | 23.6% |
コングロマリット | 12.2% |
産業機械 | 11.2% |
鉄道 | 8.3% |
建設機械・大型トラック | 5.8% |
電気部品・設備 | 5.3% |
航空貨物・物流サービス | 5.0% |
環境関連・ファシリティサービス | 4.1% |
旅客航空輸送業 | 4.0% |
建設関連製品 | 4.0% |
VISの保有上位10銘柄
Boeing Co. | 6.5% |
Honeywell International Inc. | 4.2% |
Union Pacific Corp. | 4.1% |
United Technologies Corp. | 3.5% |
3M Co. | 3.3% |
Lockheed Martin Corp. | 3.1% |
General Electric Co. | 3.0% |
Caterpillar Inc. | 2.6% |
United Parcel Service Inc. | 2.4% |
CSX Corp. | 2.0% |
純資産総額に占める上位10銘柄の割合 | 34.7% |
VISのトータルリターン
2019年6月30日までのトータルリターンです。
過去1年 | 9.28% |
過去3年 | 13.08% |
過去5年 | 9.06% |
過去10年 | 15.58% |
設定来(2004~) | 9.46% |
VISの分配金情報
分配金の単位はドルです。
2019年
2019/06/21 | 0.5056 |
2019/03/21 | 0.6862 |
合計(暫定) | 1.1918 |
2018年
2018/12/13 | 0.6475 |
2018/09/24 | 0.5937 |
2018/06/28 | 0.5573 |
2018/03/16 | 0.4953 |
合計 | 2.2938 |
2017年
2017/12/14 | 0.6164 |
2017/09/27 | 0.586 |
2017/06/28 | 0.532 |
2017/03/24 | 0.544 |
合計 | 2.2784 |
VISの株価指標
予想PER: 17.22(2019年8月31日時点、モーニングスターHPより)
配当利回り:1.67%(2019年9月29日時点)
VISに対するコメント
VISはアメリカ資本財セクター全体に投資できる便利なセクターETFです。
航空宇宙・防衛産業が最も多く、23.6%の構成率をほこります。
また多数の事業を扱う多角化経営(コングロマリット)企業が12.2%となっています。
鉄道産業も資本財セクターに属していて、こちらの構成率は8.3%です。
最も時価総額が高い企業は航空機や軍用品を生産するボーイングで、VISの6.5%を占めます。
他にも電子制御システムや自動化機器を製造しているハネウェル・インターナショナルが4.2%、鉄道会社のユニオンパシフィックが4.1%、工業製品やヘルスケア製品など幅広い生産をするコングロマリット企業スリーエム(ティッカーがMMMとわかりやすい)が3.3%となっています。
VISの強み
- 好景気に強い
- 株主還元に積極的な企業が多い
- 軍需産業がなくなることはない
資本財セクターは景気循環セクターとも呼ばれ、好景気に強い特徴があります。
好景気が長く続くなら良好なリターンが期待できます。
資本財セクターの大手企業を見る限りでは株主還元に積極的な企業がほとんどでした。
特に自社株買いが多く配当性向は50%、総還元性向は100%といったイメージです。
オールドエコノミーセクターではありますが、だからこそ優秀な株主還元が行われているのでしょうね。
VISのメイン産業は軍需ですが、この産業はなくなることがありません。
戦争が嫌悪される時代でも平和を維持するために武器が必要になるからです。
VISの弱み
- 不景気に弱い
- 需要の減少に対する耐性が低い
- 大手企業は株主還元のし過ぎで財務状況はあまりよくない
景気循環セクターであるがゆえに、不景気には弱いです。
この性質を活かして、不景気時にタイミング良く投資できれば高いリターンを期待できます。
ただ需要の減少に対しては滅法弱いです。
というのも製造業なので複雑な設備を使って生産していることがほとんどで、設備を維持するだけでもコストがかかってくるからです。
いらない設備ばかりを所有する結果となってしまった場合、買収先としても魅力がなくなってしまい、あっさり倒産してしまう可能性もあります。
株主還元は非常にすばらしいことです。
100%を超える還元は本来喜ぶべきです。
ただ、私たち投資家が投資する前にこのような還元を行った場合は少し立ち止まって考えるべきでしょう。
なぜなら大抵の場合、財務状況も悪化していることが多いからです。
資本財セクターの大手企業は純資産が少なく、ゼロの企業もいくつかあります。
純資産がゼロということは、超過債務だということです。
超過債務の状態では資産をすべて売っても借金が残ることになります。
超過債務の企業は基礎的な体力が低く、不景気時にその対応を誤るとそのまま倒産してもおかしくありません。
その企業が抱えているビジネスが不景気時でも堅調に遂行できるのなら倒産まではいかないと思いますが…
またこのセクターでは大手企業の歯車が狂うと部品を納入している同セクターの中小企業にまで影響が及ぶため、大手の割合が少ない(純資産総額に占める上位10銘柄の割合は34.7%)とはいえその動向は重要です。
シーゲル教授の研究における資本財セクター
シーゲル教授の『株式投資の未来』では1957年から2003年までの各セクターの市場シェアとリターンを調査しており、以下がその結果となります。
S&P500 | 10.85% |
ヘルスケア | 14.19% |
生活必需品 | 13.36% |
情報技術 | 11.39% |
エネルギー | 11.32% |
一般消費財 | 11.09% |
金融 | 10.58% |
資本財 | 10.22% |
電気通信 | 9.63% |
公益事業 | 9.52% |
素材 | 8.18% |
資本財セクターは市場平均を下回り、10.22%の年率リターンとなりました。
しかし設立時(2004年9月)からのリターンは9.46%と健闘しています。
(参考までに飛ぶ鳥を落とす勢いのハイテクセクターETFのVGTは設立時(2004年1月)からのリターンが10.44%でした。)
ここ10年は好景気が長く続いたことで資本財セクターにも富をもたらしたとともに、リーマンショック時に金融セクターほどのダメージを受けなかったこと、自社株買いなどの株主還元を積極的に行ったことなどがリターン向上につながったと考えます。
VISの今後
資本財セクターETFは好景気に強いことがわかりました。
ということは投資時点から好景気が長く続くか、もしくは不景気を待って株安になったところを買うことで好リターンが期待できます。
株主還元を重視してきたことは魅力的ではあるのですが、逆に財務状況が悪化しているためこれから投資する際はその点に注意したいですね。
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