【VHTセクター分析】米国ヘルスケアセクターETFは長期リターンに優れた魅力的なETF!ジョンソンエンドジョンソンやユナイテッドヘルスが有名

こんにちは、アーサーです。
今回はヘルスケアセクターETFのVHTをご紹介します。
データソースはバンガードのファクトシート(2019年3月31日時点)です。
VHTの概要
ベンチマーク | MSCI USインベスタブル・ マーケット・ ヘルスケア25/50 インデックス |
ティッカー | VHT |
経費率 | 0.10% |
ETF純資産総額 | 93.42億ドル |
ファンド純資産総額 | 107.12億ドル |
配当スケジュール | 四半期毎 |
設定日 | 2004年1月26日 |
上場取引所 | NYSE Arca |
VHTの詳細データ
構成株式銘柄数 | 361 |
時価総額の中央値 | 775億ドル |
株価収益率 | 25.7倍 |
株価純資産倍率 | 4.1倍 |
株主資本利益率 | 15.7% |
利益成長率 | 5.0% |
売買回転率 | 6.1% |
標準偏差 | 13.42% |
VHTの時価総額内訳
大型株 | 75.3% |
中・大型株 | 2.9% |
中型株 | 11.6% |
中・小型株 | 4.1% |
小型株 | 6.1% |
VHTの産業構成
医薬品 | 30.0% |
ヘルスケア機器 | 22.0% |
バイオテクノロジー | 19.6% |
管理健康医療 | 9.9% |
ライフサイエンス・ツール/サービス | 7.3% |
ヘルスケアサービス | 4.7% |
ヘルスケア用品 | 2.0% |
ヘルスケア・ディストリビュータ | 1.6% |
ヘルスケア施設 | 1.6% |
ヘルスケア・テクノロジー | 1.3% |
VHTの保有上位10銘柄
Johnson & Johnson | 9.3% |
Pfizer Inc. | 6.0% |
UnitedHealth Group Inc. | 5.9% |
Merck & Co. Inc. | 5.3% |
Abbott Laboratories | 3.5% |
Medtronic plc | 3.0% |
AbbVie Inc. | 3.0% |
Amgen Inc. | 3.0% |
Eli Lilly & Co. | 2.9% |
Thermo Fisher Scientific Inc. | 2.7% |
純資産総額に占める上位10銘柄の割合 | 44.6% |
VHTのトータルリターン
2019年3月31日までのトータルリターンです。
過去1年 | 14.51% |
過去3年 | 13.49% |
過去5年 | 11.59% |
過去10年 | 16.94% |
設定来(2004~) | 9.93% |
VHTの分配金情報
分配金の単位はドルです。
2019年
2019/06/21 | 1.1638 |
2019/03/21 | 1.1059 |
合計(暫定) | 2.2697 |
2018年
2018/12/13 | 0.6256 |
2018/09/24 | 0.5779 |
2018/06/28 | 0.6299 |
2018/03/16 | 0.3882 |
合計 | 2.2216 |
2017年
2017/12/14 | 0.5667 |
2017/09/27 | 0.515 |
2017/06/28 | 0.498 |
2017/03/24 | 0.443 |
合計 | 2.0227 |
VHTの株価指標
予想PER:16.05(2019年8月31日時点、モーニングスターHPより)
配当利回り:2.09%(2019年9月29日時点)
VHTに対するコメント
VHTは米国ヘルスケアセクター全体に投資できる便利なセクターETFです。
産業構成は医薬品が30%、医療機器が22%、バイオが19.6%となっています。
個別では高配当株として有名で製薬会社でありながら医療機器なども扱うジョンソンエンドジョンソンが9.3%、同じく製薬会社のファイザーが6.0%、民間医療保険のユナイテッドヘルスが5.9%です。
ヘルスケアセクターの中でも製薬会社は訴訟問題や薬の特許切れ問題を抱えており、他のセクターと比べて個別株では長期保有しづらいところがあります。
しかしヘルスケアセクターETFならそのような問題をあまり気にせず長期投資することができます。
VHTの強み
- 医療を必要とする高齢者人口の増加
- 薬や医療機器技術の特許などの関係で競争過多にならない
- 不景気に強く、利益が簡単には落ちない
ヘルスケアセクター一番の強みとして高齢者社会の方が儲けられることにあります。
人口動態は現代では大きな戦争が発生しない限りはほぼ予測通りになるため、この利点はほぼ間違いなく享受することができます。
需要が大きく伸びることが予想されるため、売上も伸びていく可能性が高いです。
またヘルスケアセクターは強い特許によって守られており、過去ではそれが競争過多を防いだ結果、株主利益をより増大させることになりました。
医薬品の実質的な特許期間は約10年から15年程度のようです。
医薬品はブランド物でもあるので、たとえ特許がなくてもブランド力で押していくことも可能です。
ディフェンシブセクターとしても有名で、不景気時には景気敏感セクターを大きく上回るパフォーマンスが期待できます。
特にリーマンショックのときはベンチマークとされるS&P500が円建てで約63%の下落を見せる中、VHTは38%の下落に留まっていました。
為替の影響もある中でこの下落率ですむことには驚きですし、市場平均に対してこれだけの差をつけられる防御力はヘルスケアセクターの大きな魅力です。
VHTの弱み
- ジェネリック医薬品の導入で薬価が減少傾向
- 国民皆保険制度が成立すると特に医療保険業界には打撃
- 新薬開発が難しくなってきている
今ヘルスケアセクターで一番頭を悩ませているのがジェネリック医薬品導入による薬価減少です。
この減価傾向が続くと、長期リターンに大きな影響を及ぼしてしまうかもしれません。
一部の米民主党議員が唱えている国民皆保険制度という爆弾も抱えています。
導入するには多額の税金が必要になる上、医療保険業界がめちゃくちゃになってしまう恐れがあるため実現は難しいですが、可能性はゼロではないです。
しかしこのリスクを懸念してか民間医療保険会社は大きく売られ、割安感がでてきています。
新薬開発がますます難しくなっているのもネガティブニュースです。
今後あたらしい薬の開発がさらに難しくなるのか、それとも技術革命のような薬が米国企業によって開発されるのかによってVHTのリターンも変わってきそうです。
シーゲル教授の研究ではヘルスケアセクターのリターンが一番良かった
シーゲル教授の『株式投資の未来』では1957年から2003年までの各セクターの市場シェアとリターンを調査しており、以下がその結果となります。
S&P500 | 10.85% |
ヘルスケア | 14.19% |
生活必需品 | 13.36% |
情報技術 | 11.39% |
エネルギー | 11.32% |
一般消費財 | 11.09% |
金融 | 10.58% |
資本財 | 10.22% |
電気通信 | 9.63% |
公益事業 | 9.52% |
素材 | 8.18% |
ヘルスケアセクターは市場平均を大幅に上回り、見事すべてのセクターの中で一番の成績をおさめることができました。
ヘルスケア産業は特許によって守られていることもあり独占性が高く価格競争になりづらいため、その分だけ株主に対するリターンが高くなっているものと考えられます。
また2004年からのリターン(設立時)は9.93%とこちらも市場平均を超えるパフォーマンスを示しました。
不景気耐性が高く、リーマンショックのときに利益を大きく落とさなかったことが好パフォーマンスに繋がりました。
VHTの今後
薬価減少問題や国民皆保険制度問題を抱えているため、それなりにリスクがある投資先となってしまっているのが現状です。
しかし医療を必要とする人々がより増えていく流れは間違いなく、長期リターンは基本的に良好だと考えています。
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