【VAWセクター分析】アメリカ素材セクターは地味な感じ。地味だからこそ良さもある。いや何か変革イベントが起きれば…

2019年10月3日

こんにちは、アーサーです。

今回はアメリカ素材セクターETFのVAWをご紹介します。

データソースはバンガードのファクトシート(2019年6月30日時点)です。

VAWの概要

ベンチマークMSCI USインベスタブル・マーケット・
素材25/50インデックス
ティッカーVAW
経費率0.10%
ETF純資産総額20.00億ドル
ファンド純資産総額24.85億ドル
配当スケジュール四半期毎
設定日2004年1月26日
上場取引所NYSE Arca

VAWの詳細データ

構成株式銘柄数120
時価総額の中央値205億ドル
株価収益率17.1倍
株価純資産倍率1.9倍
株主資本利益率17.5%
利益成長率7.6%
売買回転率4.7%
標準偏差15.63%

VAWの時価総額内訳

大型株44.6%
中・大型株2.5%
中型株28.8%
中・小型株10.8%
小型株13.3%

VAWの産業構成

特殊化学品30.3%
工業用ガス18.0%
基礎化学品9.2%
包装紙9.0%
肥料・農薬6.5%
金属・ガラス容器5.8%
鉄鋼5.5%
建設資材4.5%
4.4%
総合化学2.2%

VAWの保有上位10銘柄

Linde plc12.4%
DuPont de Nemours Inc.6.3%
Ecolab Inc.5.7%
Air Products & Chemicals Inc.5.6%
Sherwin-Williams Co.4.3%
Dow Inc.4.2%
Newmont Goldcorp Corp.3.5%
PPG Industries Inc.3.1%
LyondellBasell Industries NV2.9%
Corteva Inc.2.5%
純資産総額に占める上位10銘柄の割合50.5%

VAWのトータルリターン

2019年6月30日までのトータルリターンです。

過去1年-0.52%
過去3年9.79%
過去5年4.96%
過去10年11.65%
設定来(2004~)8.44%

VAWの分配金情報

分配金の単位はドルです。

2019年

2019/09/260.6346
2019/06/210.7012
2019/03/210.5713
合計(暫定)1.9071

2018年

2018/12/130.6307
2018/09/240.587
2018/06/280.6604
2018/03/160.3666
合計2.2447

2017年

2017/12/140.5662
2017/09/270.613
2017/06/280.547
2017/03/240.503
合計2.2292

VAWの株価指標

予想PER:17.18(2019年8月31日時点、モーニングスターHPより)

配当利回り:2.09%(日本時間で2019年10月3日20:00時点)

VAWに対するコメント

VAWはアメリカ素材セクター全体に投資できる便利なセクターETFです。
特殊化学品だけで30.3%の構成率です。
特殊化学品はおおくの種類があり、接着剤、農薬、洗浄剤、着色剤、化粧品添加物、建設用化学品、香料、食品添加物、芳香剤、潤滑剤および塗料などがあります。
工業用ガスも比率が高く、18.0%となります。
産業もこのセクターになります。その構成率は4.4%です。

最も規模が大きい企業は産業用ガスの最大手リンデが12.4%となっています。
少し前は世界大戦のときに火薬や爆弾を供給しアメリカを支えたこともあるダウ・ドゥポンが最大規模でしたが、2019年の上旬に経営分離が行われた結果、新たに3つの企業が誕生しました。
デュポンは特殊化学品会社で6.3%、ダウは素材科学会社で4.2%、そしてコルテバは農業関連会社で2.5%の構成率となります。

VAWの強み

  • 好景気に強い傾向
  • あまりに地味なセクターである

素材セクターも好景気に強いセクターです。
不景気時に仕込めれば大きなリターンが期待可能となります。
ただ、同じ好景気に強いセクターである一般消費財や資本財、金融や高成長が期待できるハイテクセクターなどに比べるとパワーに劣るところがあります。
他のセクターと比べて明らかに割安となればチャンス到来だといえそうです。

このように他のセクターと比べてあまり高リターンが期待できない部分があることから、他の投資家から注目されていません。
そのような地味セクターであるからこそ、お宝が眠っている可能性があります。
現在はそれほど安くないですが、割安になりやすいセクターだと思うのでそのときを待ちたいですね。

(割安でない理由としてインデックス投資があるかもしれません。
インデックス投資では時価総額に対して均等に投資するため、地味な素材セクターも買われることになります。)

VAWの弱み

  • 不景気に弱い
  • 過去の長期リターンがよくない
  • 素材セクターはこれからも縮小する可能性が高い

素材セクターの弱点として不景気に弱いところがあります。
リーマンショックのときは市場平均より大きな暴落をしてしまいました。
製造業が弱くなるとどうしても素材セクターもつらい展開となります。

また素材セクターを地味な存在にしている原因のひとつとして、過去の長期リターンに乏しいところがあります。
投資家は未来人ではなくただの人間ですから、未来の判断がうまくできません。
そのため過去のデータを重視するわけですが、素材セクターはそのデータに恵まれていないわけですね。
こうなると、未来もあまり良いリターンを出せないのではないか、という疑問につながってしまいます。

そしてなにより、素材セクターはこれからも縮小する可能性が高いことがあげられます。
ハイテクセクターやヘルスケアセクターが巨大化し、将来的にもより大きくなることが予想されています。
この2大セクターに対して素材セクターは戦わなければならないのです。
製造業が弱くなる中でこれはあまりに厳しい戦いではないでしょうか。

素材セクターが大きなリターンをあげるためには、大きな富を生み出すような素材の登場が待たれます。

シーゲル教授の研究における素材セクターは最悪の結果だった

シーゲル教授の『株式投資の未来』では1957年から2003年までの各セクターの市場シェアとリターンを調査しており、以下がその結果となります。

S&P50010.85%
ヘルスケア14.19%
生活必需品13.36%
情報技術11.39%
エネルギー11.32%
一般消費財11.09%
金融10.58%
資本財10.22%
電気通信9.63%
公益事業9.52%
素材8.18%

素材セクターは市場平均を大幅に下回り、8.18%の年率リターンとなってしまいました。
国外企業との競合や製造業からサービス業へのシフトが原因です。
特に国外企業との戦いでは企業内の年金制度も含めた労働コストが大きい負荷となってしまいました。

設立時(2004年9月)からのリターンは8.44%で、それなりのリターンを稼ぎ出しています。
リーマンショック時こそ97ドルから35ドルまで大暴落してしまいましたが、その後は堅調に株価が上昇しています。

VAWの今後

素材セクターは景気循環ですが他の景気循環セクターと比べると魅力に乏しいところがあります。
過去の長期リターンもあまりよくなく、これからも良いリターンを期待することは難しいです。
ここまで素材セクターに対して厳しい言葉を並べてきましたが、何かこのセクターを変革するような出来事、例えば新しい建設用素材が爆発的に売れる、などが起きればこれまでの風潮を吹き飛ばすことができます。
そういうセクターの性質を変えるレベルのイベントがきたら投資することを強く考えたいですね。

関連記事です。

この記事では各セクターを成長、安定、割安の3つの指標を使って評価しています。

同じく地味な感じのする資本財セクターですが、こちらは実力者でした。

公共セクターも地味に見えますが最近のパフォーマンスはよく、そもそもディフェンシブセクターのひとつでもあります。