【VAWセクター分析】アメリカ素材セクターは地味な感じ。地味だからこそ良さもある。いや何か変革イベントが起きれば…

こんにちは、アーサーです。
今回はアメリカ素材セクターETFのVAWをご紹介します。
データソースはバンガードのファクトシート(2019年6月30日時点)です。
VAWの概要
ベンチマーク | MSCI USインベスタブル・マーケット・ 素材25/50インデックス |
ティッカー | VAW |
経費率 | 0.10% |
ETF純資産総額 | 20.00億ドル |
ファンド純資産総額 | 24.85億ドル |
配当スケジュール | 四半期毎 |
設定日 | 2004年1月26日 |
上場取引所 | NYSE Arca |
VAWの詳細データ
構成株式銘柄数 | 120 |
時価総額の中央値 | 205億ドル |
株価収益率 | 17.1倍 |
株価純資産倍率 | 1.9倍 |
株主資本利益率 | 17.5% |
利益成長率 | 7.6% |
売買回転率 | 4.7% |
標準偏差 | 15.63% |
VAWの時価総額内訳
大型株 | 44.6% |
中・大型株 | 2.5% |
中型株 | 28.8% |
中・小型株 | 10.8% |
小型株 | 13.3% |
VAWの産業構成
特殊化学品 | 30.3% |
工業用ガス | 18.0% |
基礎化学品 | 9.2% |
包装紙 | 9.0% |
肥料・農薬 | 6.5% |
金属・ガラス容器 | 5.8% |
鉄鋼 | 5.5% |
建設資材 | 4.5% |
金 | 4.4% |
総合化学 | 2.2% |
VAWの保有上位10銘柄
Linde plc | 12.4% |
DuPont de Nemours Inc. | 6.3% |
Ecolab Inc. | 5.7% |
Air Products & Chemicals Inc. | 5.6% |
Sherwin-Williams Co. | 4.3% |
Dow Inc. | 4.2% |
Newmont Goldcorp Corp. | 3.5% |
PPG Industries Inc. | 3.1% |
LyondellBasell Industries NV | 2.9% |
Corteva Inc. | 2.5% |
純資産総額に占める上位10銘柄の割合 | 50.5% |
VAWのトータルリターン
2019年6月30日までのトータルリターンです。
過去1年 | -0.52% |
過去3年 | 9.79% |
過去5年 | 4.96% |
過去10年 | 11.65% |
設定来(2004~) | 8.44% |
VAWの分配金情報
分配金の単位はドルです。
2019年
2019/09/26 | 0.6346 |
2019/06/21 | 0.7012 |
2019/03/21 | 0.5713 |
合計(暫定) | 1.9071 |
2018年
2018/12/13 | 0.6307 |
2018/09/24 | 0.587 |
2018/06/28 | 0.6604 |
2018/03/16 | 0.3666 |
合計 | 2.2447 |
2017年
2017/12/14 | 0.5662 |
2017/09/27 | 0.613 |
2017/06/28 | 0.547 |
2017/03/24 | 0.503 |
合計 | 2.2292 |
VAWの株価指標
予想PER:17.18(2019年8月31日時点、モーニングスターHPより)
配当利回り:2.09%(日本時間で2019年10月3日20:00時点)
VAWに対するコメント
VAWはアメリカ素材セクター全体に投資できる便利なセクターETFです。
特殊化学品だけで30.3%の構成率です。
特殊化学品はおおくの種類があり、接着剤、農薬、洗浄剤、着色剤、化粧品添加物、建設用化学品、香料、食品添加物、芳香剤、潤滑剤および塗料などがあります。
工業用ガスも比率が高く、18.0%となります。
金産業もこのセクターになります。その構成率は4.4%です。
最も規模が大きい企業は産業用ガスの最大手リンデが12.4%となっています。
少し前は世界大戦のときに火薬や爆弾を供給しアメリカを支えたこともあるダウ・ドゥポンが最大規模でしたが、2019年の上旬に経営分離が行われた結果、新たに3つの企業が誕生しました。
デュポンは特殊化学品会社で6.3%、ダウは素材科学会社で4.2%、そしてコルテバは農業関連会社で2.5%の構成率となります。
VAWの強み
- 好景気に強い傾向
- あまりに地味なセクターである
素材セクターも好景気に強いセクターです。
不景気時に仕込めれば大きなリターンが期待可能となります。
ただ、同じ好景気に強いセクターである一般消費財や資本財、金融や高成長が期待できるハイテクセクターなどに比べるとパワーに劣るところがあります。
他のセクターと比べて明らかに割安となればチャンス到来だといえそうです。
このように他のセクターと比べてあまり高リターンが期待できない部分があることから、他の投資家から注目されていません。
そのような地味セクターであるからこそ、お宝が眠っている可能性があります。
現在はそれほど安くないですが、割安になりやすいセクターだと思うのでそのときを待ちたいですね。
(割安でない理由としてインデックス投資があるかもしれません。
インデックス投資では時価総額に対して均等に投資するため、地味な素材セクターも買われることになります。)
VAWの弱み
- 不景気に弱い
- 過去の長期リターンがよくない
- 素材セクターはこれからも縮小する可能性が高い
素材セクターの弱点として不景気に弱いところがあります。
リーマンショックのときは市場平均より大きな暴落をしてしまいました。
製造業が弱くなるとどうしても素材セクターもつらい展開となります。
また素材セクターを地味な存在にしている原因のひとつとして、過去の長期リターンに乏しいところがあります。
投資家は未来人ではなくただの人間ですから、未来の判断がうまくできません。
そのため過去のデータを重視するわけですが、素材セクターはそのデータに恵まれていないわけですね。
こうなると、未来もあまり良いリターンを出せないのではないか、という疑問につながってしまいます。
そしてなにより、素材セクターはこれからも縮小する可能性が高いことがあげられます。
ハイテクセクターやヘルスケアセクターが巨大化し、将来的にもより大きくなることが予想されています。
この2大セクターに対して素材セクターは戦わなければならないのです。
製造業が弱くなる中でこれはあまりに厳しい戦いではないでしょうか。
素材セクターが大きなリターンをあげるためには、大きな富を生み出すような素材の登場が待たれます。
シーゲル教授の研究における素材セクターは最悪の結果だった
シーゲル教授の『株式投資の未来』では1957年から2003年までの各セクターの市場シェアとリターンを調査しており、以下がその結果となります。
S&P500 | 10.85% |
ヘルスケア | 14.19% |
生活必需品 | 13.36% |
情報技術 | 11.39% |
エネルギー | 11.32% |
一般消費財 | 11.09% |
金融 | 10.58% |
資本財 | 10.22% |
電気通信 | 9.63% |
公益事業 | 9.52% |
素材 | 8.18% |
素材セクターは市場平均を大幅に下回り、8.18%の年率リターンとなってしまいました。
国外企業との競合や製造業からサービス業へのシフトが原因です。
特に国外企業との戦いでは企業内の年金制度も含めた労働コストが大きい負荷となってしまいました。
設立時(2004年9月)からのリターンは8.44%で、それなりのリターンを稼ぎ出しています。
リーマンショック時こそ97ドルから35ドルまで大暴落してしまいましたが、その後は堅調に株価が上昇しています。
VAWの今後
素材セクターは景気循環ですが他の景気循環セクターと比べると魅力に乏しいところがあります。
過去の長期リターンもあまりよくなく、これからも良いリターンを期待することは難しいです。
ここまで素材セクターに対して厳しい言葉を並べてきましたが、何かこのセクターを変革するような出来事、例えば新しい建設用素材が爆発的に売れる、などが起きればこれまでの風潮を吹き飛ばすことができます。
そういうセクターの性質を変えるレベルのイベントがきたら投資することを強く考えたいですね。
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